思い出の数学書(学部2年のとき)
前回に引き続き, 学部2年生の頃の思い出の数学書を書いていこうと思います.
2年生になると, 本格的な数学の講義が始まり, なんだか身の引き締まる思いがしましたね. 大体, 期末試験の過去問が出回り, なかなか友達のできない僕は, その過去問を解くことで, 友人を獲得することに成功しました. 果たしてそれは友人なのかという悲しい疑問はさておき, 本の紹介をしましょう...
まずは, 森田康夫さんの『代数概論』からでしょうか.
2年生の代数学の講義で担当の教授が参考書として挙げていたものです. その教授の講義はとても面白く, その人の講義(学部3年の時)の影響を受けて, 表現論の方面に進もうと思い始めもした思い出深い講義です. (その方の専門は代数幾何らしいのですが, 代数幾何は僕にはあまりわかりませんでした.)その教授は, この本をべた褒めしているんですよね. Amazonのレビューも書いてるくらいに絶賛してました. なので, この本が面白かったというより, 憧れの教授の好きな本だから自分も!という感じで取り組んでました. ホモロジー代数の説明が初めは?の連発だったのですが, ほかの本を読んだりいろいろと四苦八苦して, もう一度この本を見るとめちゃくちゃすっきりしてて体がのけぞりましたね. そういう感じで, ふとした時に見ると感動を与えてくれるような本です.
次は, 杉浦光夫さんの『解析入門1』です.
実は2も読んでるのですが, 思い出深いと言ったら1の方です.
この本の内容から解析学楽しい!となったというよりかは, この本のおかげで人との出会いがあったという感じです.(女性との出会いではありません...タハハ)
当時, 僕の通っていた大学には, 数学科の院生の人に質問できるような場がありました. 講義が終わってから一緒に遊ぶような友人もいなかったので, 僕はそこにほぼ毎日通っていました. 高校生の時からなのですが, 毎日質問に行っていると, なんだか親しく話してくれるんですよね. そこで, 数学の分からない問題を持っていきつつ, 談笑するのが日課でした.
その質問する場というのは, 院生のTAのようなものでしたので, 奥の部屋の方には大学の講師または助教の方が座っており, 研究をしていました.
ある日, 解析入門の演習問題で分からないところ(確か, 級数の一様収束性を示す問題でした.)を聞きに行ったら, 院生の方がみんなわからないといい, その時奥に座っていた講師の方が出てきました. この瞬間, 僕は解析の方に進むことになったのです!
その講師の方は統計学の研究をしておられたのですが, 色々と面倒を見てくださり, それからはその講師の方がいるときはその人のところに直接行き, 話をしていました. あの時, 問題の計算をしてくれた紙はいまだに持っています.
それから約1年間, 僕は確率論の勉強を始めることになります. その講師がやっていた演習科目をとり, それを理由に, 今度は毎日, その人の研究室に転がり込んでいました. 今から思えばなんとも迷惑な奴だなぁと思いますが, そんな顔もせず対応してくださりました. 感謝しかありません.
その方からおすすめされた確率論の本が, 熊谷隆さんの『確率論』でした.
この本は, 確率論の応用について本当にいろいろな例を書いているので, 解析のテーマパークにいるかのようです. ディズニーランドの入場料の半額以下ですので非常にお得です.(一人でも恥ずかしくないし.) 当時, 面白く感じたのは, 熱方程式への応用の話でした. それによって3年生のゼミは偏微分方程式の教授のもとを選んだのです. 今読み返してみるとやっぱり楽しいなーという印象です. 今やっていることと比べて実用的で直感的なので脳みそがおいしく感じているのかもしれません.(たまに食べるケーキはおいしい理論です.) この本を読んでみた所, 測度論のことは全然書いていなかったので, なんとなく気になってしまい, 測度論のことも書いてある本ということで舟木直久さんの『確率論』も読みました. マルチンゲールのところは難しくてなかなかわかりませんでしたが... 期待値をEで書くのが確率論では普通なのですが, これがなんともただの文字で作用するなにかとだけ思えば面白そうだなどど意味が分からないことを思い始めてしまい, そこからが作用素論などへの興味のきっかけだったのかなぁと思ったりします. 講師の方には, 進学先の相談や統計学のことについてお世話になりましたが, 結局, 専門としては確率論は使わないような(確率空間はしばしば使いますが)分野になってしまいました. なんとも連絡しづらいですな...
思い出の本としてはこんなものでしょうか. 当時はずーっとその講師の方のところに質問に行っていたので2年生の頃の思い出というのは俗にいう大学生的なことはないんですよね, 残念なことに. アルバイトの思い出といえば, 先輩の女性講師に死ぬほど嫌われてたことぐらいでしょうか, あれはいい思い出です. 再会できる可能性は測度ゼロですが.
3年生でもこんな感じで院生の方などに質問しまくる日々が続くのかなぁなどと思っていたら, 新型コロナによるパンデミックが起きてしまい, オンラインでの講義ばかりになってしまいました. それにより家で引きこもりつつ, 数学しつつということになるのですが, 3年生の時も, いろいろとよくしてくれた教授がおり, 一時期はその勉強に熱心に取り組んでいました. (今の専門とは結構離れてますが. )専門分野の選択に揺れた3年生の思い出の本はどんなものがあるのでしょうか... たくさんあるかもなぁ, そんなに読んだのかなぁ.
ではでは