とある数学徒のひとりごと

ゆるく, しかし粘り強い思考を求めて

思い出の数学書(学部1年のとき)

しばらくは, 学部時代の思い出の数学書について書いてみようかなと思います.

1年生の時は教養科目の講義のための勉強(特に物理と英語)をしていたので, 専門的なものはないです. 

しかし, 高校時代からなんとなく興味を持っていた位相幾何学についての本はちょくちょく見てました. その中の1冊が佐藤肇さんの『位相幾何』でした.

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佐藤肇『位相幾何』

このときは, ホモロジー群というものが全く分からずに, とりあえず教科書に書いてあることをノートに書き写していく. そして考えるということをひたすらにやっていました. その結果, わかるようになったのかといわれますと, 定義はわかって何とか読むことはできるようにはなったのですが, コホモロジーのイメージがいまいちわからず悶々としていましたね. 位相空間の勉強もせずにやるからそうなってしまうのだよ...良い子のみんなはきちんと段階を踏みましょう. 

そんなこんなでぼちぼちと大学生活を送っている中, 確か冬くらいだったでしょうか, 好きな女の子から嫌われてしまい, 挙句の果てに大学の知り合いと付き合い始めるという事件が起きてしまいます. その他, いろいろな嫌がらせをそのカップルから受けるようになり毎日が悲しく過ぎ去っていきました. 

そんな時に僕の心を弧状連結してくれたのが次の有名な松坂和夫さんの『集合・位相入門』でした. 

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松坂和夫『集合・位相入門』

この本はですねー, 躍起になって読んでいました. 当時の心の寂しさというか, 口惜しさというか, なんだかどうしようもない気持ちを位相空間にぶつけていました. 

集合論の方はそんなに面白くなかったんですが, 1点コンパクト化というものに当時はとても感動しました. 1つの点を付け加えるだけでコンパクト空間にできるなんて, なんてラッキーな性質なんだと. 人生も1点コンパクト化できないのかなぁとか思ってたら, それがいわゆる運命の人との出会いなのかなと馬鹿なことを考えたりしたものです.

数学的には, 連結性や閉集合のことなど, 一般的にイメージされるものと数学的用語の差というものを実感することができてとても新鮮でした. 結局2年生の講義でもう一回やるのですがね. 演習問題をずっとやっていると, 寂しさの極大値に達していたのですからかなーり精神的に参っていました. 

あの時は赤信号などを見るとふっと渡ってしまうような危なっかしさがあったなぁ.

何が楽しくて生きてるのだろうかと思った矢先に, あの問題がまだ解けてない...とりあえずあれが解けてからにしよう. といったことを延々と繰り返して2年生になってしまった感じです. 

この本は僕の救世主だったのかもしれない. 結局, 位相のことをいろいろといじるようなものに興味を持ったりしたんだし. 

こんなところでしょうか. 正直, まだ数学のすの字もわからないレベル(今は数学のすgくらいまでいってるといいな)だったのであまり印象に残るほど本を読んでいないような気がします. 

それよりも, TOEIC400点台だったショックでずっと英語の勉強をしていた印象です. (次の年に745点になったのはうれしかった!今はどうだか...)

それでも, これが僕の数学を志すスタートだったわけです. 2年生になると結構数学っぽくなってきますので乞うご期待.

なんだかんだで楽しかったのかな. ではでは